ここ数日非常に忙しく、日も無いので、11月の展示に向けて障壁画を短期間の内に作ろうと思う。素材は古くから我家にある衝立に新しく表装を施すことを考えている。

衝立1

 エスキースにおいて、初めは雪舟の松をヒントに考えていたが、どうもイメージがしっくりこず、ここはスタンダードな荒波に浮かぶ蓬莱山にする。
 バックは金箔だ。これにおいて、以前当ブログで取り上げた「空はどうして青いのか?」に関連付けることが出来る。

エスキース1


 ここまで来て、つまり、頭にイメージが出来上がった状態で、もっと切迫した3日からの展示を約束している小品に、そのイメージをアウトプットしてみる。

小品2


 素材は提供された画廊オーナー手作りによる径20cm余りの丸い合板に雲の形を切り抜いたものだ。
 他にも色々あったが、いずれもオーナーの作品としての主張が強く、それをさらに作品化するのはかなり難しい。彼はアーティストなのだ。

小品3


 合板に直接施すか、紙を水張りするか迷ったが、ここはあくまで指向として絵画なので、水張りをすることにする。合板に直接施すと工芸に偏る可能性がある。

小品4


 水張りする紙は鳥の子紙で、糊は京都の純天然大力糊を使う。

小品5


 水張りが終わり、縁をカットした後、金箔を定着させるため膠を塗る。膠は吉祥の膠液使用。

小品6


 膠液が蒸発せぬうち金箔を置く。金箔は金沢の今井金箔の断ち切り2号本金箔を使用。

小品7


 時間を節約するため、膠の乾燥にヒートガンを使用。本当はこれはかなりリスキーだ。

小品8


 膠が乾燥し、箔が定着した後、レッドセーブル毛の平刷毛で余分な金箔を掃う。手に持っているのは掃除機で、掃除機パックや箔紙等を金の回収業者が月2回引き取りに来る。

小品9


 金箔の上に、思い切ってフリーハンドで下描きをする。下描きは京都かみ嘉で購入した書道用墨液使用。

小品10

小品11


 図の部分、つまり荒波と蓬莱山の部分にモデリングペーストでタッチと厚みを付ける。ホルベインモデリングペースト使用。

小品12


 モデリングペーストが乾燥すると、上にホルベインジェッソを薄く塗り、それが乾燥すると前出の墨液で下描きを起こしていく。

小品13


 線描が乾燥するとアクリルカラーで明度を落とす。ターナーの「和」カラーを使用。

小品


 その後、膠の艶がところどころでていたので、ホルベインのブランマットで艶を無くしたが、ひょっとすると図の部分は強烈な艶があった方がいいのかも知れない。
 反省点は多くある。例えば癖や我が強く出てしまったこと等。これを踏まえ、次回は衝立の製作を記録しようと思う。

案内状

この小品は上記にて展示する予定です。
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