疾走
「疾走」エポキシ樹脂と顔料

 熊谷さんはとても速く歩く。90年代初頭だったと思うが、大阪で御一緒した際、黒いスーツ姿で黒いローファーを履き、真っ直ぐ前を見て歩く彼女に、私は追いつくことに労を要した。
 地方への出張のスケジュールはいつもタイトだったが、恐らく、その速足で完璧に遂行されたのだろう。
 私の熊谷さんのイメージは走り続ける女性、「疾走」する女性だ。
 その熊谷さんが主宰する画廊、アートスペース虹が本年をもって、つまり2017年12月をもって閉廊するという。
 80年代初頭、開廊以来、多くの作家を輩出したアートスペース虹。その流れた時間は丁度私が現代美術というステージに乗り換え、未知の分野で奮闘した時間と限りなく一致する。
 迷い、怠惰を決めこむ私に彼女は振り向きつつ言った。
「岡田さん、早く来ないと間に合いませんよ…。」
 …恐らく、画廊を閉じた後も、熊谷さんは走り続けるのだろう。この気持ちはどんな言葉を持っても言い尽くせない…。

 アートスペース虹、最後の展覧会「非在の庭 最終章」は2017年12月19日から24日開催予定。

リーフレット1
リーフレット2
「疾走」を造る

疾走13
走る女性のイメージを段ボールに下書き

疾走12
切り抜く

疾走11
瞬間接着剤で立てる

疾走10

疾走9
エポキシ樹脂(E206)に顔料を練りこむ

疾走8
厚紙でモデリング

疾走7

疾走6

疾走5
顔料を樹脂で堅練りし、ペインティングナイフでモデリング兼着彩を繰り返す。

疾走4

疾走3

疾走2

疾走1

疾走0
台座に金箔を押す




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